2001年も押し迫った12月14日に新デザインNSXが発売され、それをベースにしたNSX-Rが2002年5月23日に再登場した。NSX-RというクルマはNSX乗りでも憧れのクルマであることは疑いないだろう。そのNSX-Rに試乗する機会を得たので参加してきた。しかもNSXの故郷というべき鈴鹿サーキットでだ。
試乗会当日の天気予報は曇り時々雨。ウェットでの試乗だとNSX-Rの性能を知るに役不足。サーキットまでの道中も降ったり止んだり。でも鈴鹿に着く頃には路面も乾いてた。もしかしてドライで試乗できる?なんて思いながら受付へ。
受付を済ませると、小生に声をかけてくる人がいた。なんとTさんじゃないですか。恩爺のお供で鈴鹿入りだそうだ。このTさんはホンダのテストドライバーをしてる人なのだ。こんなところでお会いするとは。どーも、お久しぶりです。昼食は偶然にもガンさんの斜め前、Kチーフの隣に座ることができ、いろんな会話を楽しんだよ。
Aパドックにクルマを移動させ、メディアセンターで上原さん、ガンさんの講義を聴く。内容まで書くと大変なので書きませんが簡単に書くと、上原さんの話は自分で作って売り歩く豆腐屋さんと一緒。空力セッティング、ミドルクラススポーツカー、ニュル7分台を目標して開発等々。ガンさんの話はニュルで記録したタイムの凄さ、○産が発売するアルファベット最後の文字のクルマの酷さ、あとはいつもNOMで話してる内容でした。(爆)
試乗は4つのグループに分け(Aグループは他車オーナー、BグループはNSXオーナーでNOM経験なし、C,DグループはNSXオーナーでNOM経験あり)、試乗グループと先導車付きサーキット走行とに分かれて行われるみたい。小生はCグループにエントリーされてた。ゼッケンは3。そんなに早く申し込んだわけでもないのにこんな若い番号。何故?
さっそく試乗開始。路面はハーフウェットって感じかな。時より小雨も混じってる。Aグループからの試乗なので順番が来るまではピットで待機。先導車付き走行は2回あったけど、順番来るまではやっぱり待ち状態。
1度目のサーキット走行(グループをさらに2つに分けての走行)はハーフウェットのまま。でもところどころ乾き始めてる。これは上手いこといったら試乗と2回目の走行はドライで走れるかも。
前日のレースでコースにオイルが撒かれたらしく路面は滑る滑る。特にスプーンの立ち上がりでフロントが逃げるまくり。踏めないぞー。1度だけ1コーナーでブレーキングが遅れてABS効かせながら突っ込んだりしたぞ。危ない危ない。
そういえばダンロップが改修されて初めて走ったけど、ちょっち難しくなったかも。Kチーフ先導のNSXの直後を走ってたのでラインを確認することができたかな。走行中の前後入れ替わりはなかったけど、小生が勝手に入れ替わって最後尾へ移動した。勝手知ったる何とやらで。(笑)
先導走行直後、いよいよNSX-Rの試乗。先導車付きやけど。さて、いよいよ小生の番となった時に、先導走行してる別のグループの1台が130Rでコースアウト。回収まで車内で待たされた。まぁ〜、この時間を使って車内のチェックができたけど。内装は旧NSX-Rの方がよかったな。軽量化のためとはいえ何か安っぽいぞ。メーターも見難い。せっかくのフルスケールメーターがもったいない。丸型のチタンシフトノブはちょっと大きめだけど、3速から2速へのシフトチェンジはし易そう。
回収も終わってドキドキのコースイン。たった2周だけど、NSX-Rで鈴鹿で走ることは今後ないと思うので楽しむぞ。クラッチをつないでスタート。おぉ〜、この時点ですでにフィーリングがちゃうやんけ。ファイナルの違いで加速がすごい。軽さもあるかな。エンジンの吹き上がりが段違い。わてのC32Bとは別物やね。実際、別物やけど。(笑) これで優-低排出ガス認定基準適合やねんから驚くわ。ピットの段差もこの足だとあまり気にならないかな。路面はほぼドライ。NSX-Rの性能を知るにはええ条件や。1,2コーナーはインベタ低速で抜けS字へ。最初の周のS字は(先導車が居た為)100Km/hくらいで進入。何も起きる気配なし。逆バンク、ダンロップ、デグナーを通過してヘアピンへ。ストッピングパワーが凄い。GPパッドってこんなにすごい制動力なんや。初めて知りました。これだと奥まで突っ込めます。クルマの軽さも効いてるんだろうな。そうそうシフトダウンも回転落ちが小さくてパン、パァーンって感じで綺麗につながる。それにヘアピンでのグリップがいい。これはタイヤだろうね。まっちゃんコーナーも凄い安定感。少し濡れてるところが有るにもかかわらず。スプーン進入も安定。何も起きません。130Rも安定。140km/hで進入(先導車が居た為)したけどお尻が出る気配なし。シケインのブレーキングも先ほどと同じく遅らせること出来ます。思わず先導車のインを差しかけたよ。(笑)
メインストレートで180km/hくらい出たと思うけど、フロントの接地感が全然違う。これぞ空力の恩恵って感じ。素人でも分かるレベル。1コーナーへの突っ込みも素晴らしく安定してて、またもや先導車のイン差すところだったよ。1周目よりも先導車がペースを上げてくれたのでS字、逆バンクもさっきより速いスピードで進入したけど、やはり何も起きる気配なし。これはタイヤの影響?ダウンフォース?とにかく接地感が凄い。この後、各コーナーをクリアしていったけど、とにかく安定してたぞ。我がNSXではスプーンの立ち上がりでフロントが逃げてたのが、NSX-Rだとしっかりグリップしたまま立ち上がれる。これってやっぱりタイヤと空力のおかげだろう。試乗を終えた感想は、同じNSXという名前やけど、はっきり言って別クルマ。ここまで違うかって感じ。とにかく安定してて、乗り心地も思ったよりもマイルド。旧NSX-Rみたいにゴツゴツしてるかと思ったけどそんなことなかった。でも街乗りはやっぱり厳しいかもね。エンジンの吹き上がりは気持ちいいし、シフトもし易いわ。それにブレーキがいい。GPパッド+スリッド入りローター+マスターパワー強化が効いてノーマルNSXとは大違いのストッピングパワー。ノーマルパッドじゃあきまへんわ。社外のパッドでも入れてみるか。
試乗後、すぐに自分のNSXでの走行だったけど、NSX-Rを乗った後じゃ悲しくなるほど動きが鈍い。それにクルマが重い。ブレーキ効かない。エンジン重い。フロント逃げる等々。。。とはいえ、さすがNSX。走るうちに楽しくなってきたよ。忘れかけてた「速けりゃええのか?」精神を思い出した。楽しければいいのだ。レースしてる訳とちゃうねんから。NSX-Rは確かに安定して速い。でも何か足りない気がしてた。きっと「うわぁ〜、フロント逃げてる。」とか「きゃー、リア出てるぅ〜」なんて言いながら走ってる方が面白いんだろう。今日は単なる試乗だったのでNSX-Rの限界には程遠いところで動かしてたからそんな挙動をみることができなかったんだとは思うけど。NSXの良さを再認識できたのが今日の収穫だな。
試乗も先導走行も終えて、メディアセンターにて閉会式。ガンさん、上原さんからお言葉をもらい解散。お疲れ様でした。1台コースアウトした以外は無事終えることが出来てえがったえがった。いつもそうだけど、サーキット走った後の山越えはいつもよりペースが上がっちゃう。気を付けないとね。今日はとにかくええ経験させてもろたわ。
総論:お金があったら買いたいな。技術の進歩は凄いぞ。
01/Jul/2002(Mon)